2012年09月01日

モラトリアム不要論

店舗応援団を始めてから、素晴らしいチャレンジャーにインタビューする機会が増えた。
ビジネスにおける成功者でもある彼ら(彼女ら)からは、興味深い共通点がいくつか見つけることができるが、その中の一つが「モラトリアムは成功を遠ざける」という認識だ。

チャレンジのために準備や検討をしたり、資格や業務知識を得たいなら、一社会人として働きながらすべきだという見解は、みごとに一致している。

実は俺もそう思ってた。
大体、資格なんてものは夜中や早朝に勉強して取るからこそ価値があるし、新規事業の立ち上げだって本業を完璧にこなしつつやるべきだ。
勉強や新規事業で本業にしわ寄せが行くようでは、本末転倒であろう。

これを説明するとブログ一回分では足りない分量なのだが、まずは社会人でありながらモラトリアム状態がありうるのか?という点に関して、一時期よく言われた「モラトリアム人間」に関するわかりやすい定義を見つけたので、一部引用してみる。

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モラトリアム人間=自己形成の状態にとどまり、既成の大人社会に同化できないでいる人間。
いつまでも社会的な自己(アイデンティティ)を確立するためのモラトリアム(猶予期間)にとどまり、既成の大人社会に同一化しないままの状態でいる人間のこと。
青年期は、知識、技術の研修のために、知的、肉体的、性的な能力の面では一人前になっているにもかかわらず、なお社会人としての義務と責任の支払いを猶予されている状態と定義した。
ところが一九六○年代から七○年代にかけて、次第にこの意味での青年期が延長し、いつまでもモラトリアム状態にとどまる青年層がふえた。こうした心理構造の持主をモラトリアム人間と名付けた。
モラトリアム人間は、アイデンティティを全うするために、他の自分の可能性を切り捨てる「あれかこれか」型の生き方に比べて、「あれもこれも」型であり、自分の多様な可能性を常に自由に発揮できるような柔軟性を持っている。しかし、社会に対して当事者意識を欠き、お客様的であり、組織、集団、国家、社会に対して帰属意識が希薄で、何事にも一時的、暫定的にしかかかわらず、自分のすべてをかけることを避けるなどの心理傾向を持っている。
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まあ後半部分は辛辣にすぎるかなとのキライはあるものの、本来、大学を卒業する22歳ころまでに終えるべき青年期を、年代に関わらず引きずってしまう傾向は、近年ますます強まっている。
生活保護や失業保険などの社会保障のみならず、モラトリアム人間を対象にした民間と補助金のあわせ技のような制度もあったりして、さらにこれを助長している。

学校を卒業してから何年も経過しているにも関わらず、経済活動に参加しないで自分探しをしていられる環境が、この国にはいくらでもあるのだ。

誤解の無いように断っておくが、俺が話を聞いてきたチャレンジャーたちは、何も定職に就きなさいと言っているわけではない。
バイトでもパートでもいい。日雇いだっていい。コンビニや居酒屋や、肉体労働や単純作業など、なんでもいいから仕事をすべきだと口をそろえて言う。
仕事をしていれば、お客様と接したり、組織を見たり、お金を扱ったり、人間関係を学んだり、その気になれば経営やマネジメントを学ぶことだってできる。全ては本人次第なのだ。

モラトリアム生活に入ると、接する相手が支援機関の方とか、コンサルタントとか、各分野の専門士の方とかが多くなってくる。
もちろん有益なのだろうが、商売の現場感覚は絶対に鈍ってくる。
物知りの方たちとばかり話して、情報と人脈と知識ばかりが増え、妙にカッコつけてしまいたくなり、頭を下げる相手を選ぶようになってしまう。

その点、店舗応援団で企画しているthink&vision2.0は、100%実践者の集まりだ。
皆さん、ご自分の才覚で飯を食っていこうという方ばかりが集まって、等身大でリアルなビジネスの話に終始する。
かっこいい理論は学べないが、ごく身近で本物の失敗談と成功例が聞ける。

皆さんめっちゃ悩んでいるし、人間臭い。
なかなかチャレンジに踏ん切れないし、女々しい。
かと思うと、びっくりするようなチャレンジをあっさりしちゃってたり。
でもリアルって、そういうものだ。

自画自賛ながら、小さな商売を立ち上げるためには、think&vision2.0が最強のビジネスサークルであると自負している。
何故なら、多くのチャレンジと、多くの失敗と、わずかな成功を経験してきた俺自身が“こういう場所があったらな”と思っていたものを具現化したものだから。



Posted by たまじゅん at 14:54│Comments(0)
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